地震
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地震(じしん)とは、普段は固く密着している地下の地盤や岩盤が、一定の部分を境目にして、急にずれ動くこと。また、それによって引き起こされる地面の振動。正確には、前者を「地震(じしん)」と呼び、後者を「地震動(じしんどう)」という。一般にはどちらも地震と呼ぶ。通常は地震というと地震動を意味することが多い。
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概要
地震を発生させる、地下の地盤や岩盤の割れ目を断層という。断層は、地下でずれ動くだけで地表に現れないことが多いが、大きな地震の時には地表にも現れることがある。そのため、地震を発生させた地下の断層をその地震の「震源断層」といい、震源断層のずれによって地表にも露出した断層を「地表地震断層」(または「地震断層」)と呼んで区別する。震源断層のずれが地表にまで露出していない場合は、「潜在断層」と呼ぶことがある。
また、地下で断層が動いた時、最初に動いた地点(地震波の発生源)を震源と呼び、地上における震源の真上の地点を震央と呼ぶ。テレビや新聞などで一般的に使用される震源図は震央の位置を示している。一度の地震では、震源だけではなく震源の周囲数m~数百kmの地盤でずれが発生する。このずれの範囲を震源域と呼ぶ。
地震により発生する振動波を地震波と呼ぶ。地震波には、地表を伝わる「表面波」(レイリー波・ラブ波)と岩盤中を伝わる「実体波」(P波・S波)がある。被害を引き起こすような揺れのもとは主にS波だが、レイリー波、ラブ波、P波も振幅や周期によっては被害を引き起こすような揺れとなる。
規模の大きな地震は、本震の他に前震・余震を伴うことがある。本震の前に起こるものが前震、後に起こるものが余震である。ただし、本震の区別が容易でない地震もあり、断層のずれの程度や前後に起こる地震の経過、断層の過去の活動などを考慮して判断される。余震の発生する範囲は、震源域とほぼ重なる。
大半の地震は1回の岩盤のずれのみで終わることは無い。規模が大きな地震であるほど、本震の後に起こる余震の回数・規模が大きくなる。この余震の経過を示す法則には大森房吉が発見した「余震の大森公式」を改良したものがある。なお、地震の規模と前震の回数・規模は関連性が薄い。
地震の規模を表現する指標は主に2つある。震度は地表の各地点での揺れの大きさを表す指標で、マグニチュード(M)は地震が持つエネルギーの量を表す指標である。
厳密には、M(マグニチュード)7以上の地震を大地震、M5以上M7未満を中地震、M3以上M5未満を小地震、M1以上M3未満を微小地震、M1未満を極微小地震と言うが、学術分野で使われることが多い。一般的には、死者が出たり甚大な被害が出たりするような地震を大地震、M8以上の地震を巨大地震と呼ぶ。多数の地震が長期間にわたって集中して発生するような場合は、これを群発地震と呼ぶ。
火山のマグマの上昇などによって起こる火山内部を震源とする地震を火山性地震、爆薬などにより引き起こされる震動を人工地震と呼ぶ場合がある。人工地震に対し、自然に発生する地震を自然地震と呼ぶ。震度や地震波の規模が小さい割に、大きな津波が起こる地震を津波地震という。
メカニズム
地球の表層はプレートと呼ばれる硬い板のような部分でできており、そのプレートは移動し、プレート同士で押し合いを続けている(プレートテクトニクス)。そのため、プレート内部やプレート間の境界部には、力が加わり歪みが蓄積している。この歪みが限界を越えたとき、岩盤内部の一点から破壊が始まり、急激に岩盤がずれて歪みを開放し始める。そして、これが地震の始まりである。そしてこの点が震源であり、破壊されてずれた部分が断層となる。
このずれた部分は、地震波を解析する段階では便宜的に平面(断層面または破壊面と呼ぶ)と仮定し、断層面の向き(走向)や断層面の鉛直方向に対する角度(傾斜)、震源の位置、地震の規模などを推定する。震源断層が曲がったり複数あったりする場合は、後の解析や余震の解析により推定される。
震源で始まった岩盤の破壊範囲は、多くの場合秒速2~3kmで拡大していく。
関東地震では神奈川県秦野市の直下約15kmの所から破壊が始まり、破壊は放射状に伝播して40~50秒で房総半島の端にまで至り、長さ130km、幅70kmの断層面を形成した。
兵庫県南部地震では、明石海峡の地下17kmで始まった破壊は、北東の神戸市の地下から、南西の淡路島中部にまで拡大し、約13秒で長さ40km幅10kmの断層面を形成した。
また、破壊された岩盤は、速いときで秒速数mでずれを拡大させていく。
関東地震では小田原市~秦野市の地下と三浦半島の地下で特に大きなずれを生じ、約8秒で7~8mずれた。
このようにして破壊が終結すると、一つの地震が終わることになる。この断層面の広さとずれの大きさは、地震の規模と関連している。多くの場合、断層面が広くずれが大きくなれば大地震となり、逆に小さな地震では破壊は小規模である。
こうして一つの地震が終結しても、大地震の場合は断層面にはまだ破壊されずに残っていて、歪みをため込んでいる部分がある。それらの岩盤も次第に破壊が進む。それが余震である。
一方で、前震の発生のメカニズムについては、本震を誘発するものだという説、本震に先駆けて起こる小規模な破壊だという説などがあるが、はっきりと解明されていない。
本震の後に余震が多数発生する「本震-余震型」や、それに加えて前震も発生する「前震-本震-余震型」の場合は、地震を起こす力となる応力が一気に掛かって発生すると考えられている。一方で群発地震の場合は、応力が長期間徐々に掛かって地震が多数発生すると考えられている(水やマグマなどが原因とする説もある)[1]。
地震の規模と揺れの指標
マグニチュード
詳細はマグニチュードを参照
地震の規模を表す指標の一つにエネルギー量を示すマグニチュードがあり、「M」と表記する。マグニチュードには算定方法によっていくつかの種類がある。日本では、気象庁が独自の定義による気象庁マグニチュードを発表しており、地震学では「Mj」と記される。これに対し、多くの国では表面波マグニチュード(Ms)のことを、単にマグニチュードと呼ぶことが多い。
他にもそれぞれの観測機関によって使用されるマグニチュードのタイプが異なる場合もあるが、差は最大でも0.1~0.3程度である。が、これらは最初にマグニチュードを定義したチャールズ・リヒターのものの改良版であり、基本的に地震動の最大振幅を基礎とする。いずれも8.5程度以上の大地震ではその値が頭打ち傾向になることから、地震学では地震モーメントから算出されるモーメント・マグニチュード(Mw)と呼ばれる値が地震の規模を表す指標として用いられている。
震度
詳細は震度を参照
地震動の大きさを表す指標には一般に広く使われている震度のほか、地震動そのものの最大加速度や最大速度が用いられる。建築物や土木構造物の耐震設計の分野では応答スペクトルやSI値という指標も、地震動の大きさを表す方法として広く用いられている。
震度については、日本では気象庁震度階級、アメリカ合衆国では改正メルカリ震度階級、ヨーロッパではヨーロッパ震度階級(EMS)、CIS諸国やイスラエル、インドなどではMSK震度階級が現在使用されているほか、ほかにもいくつかの指標がある。
地震の規模が大きいほど震度は大きくなる傾向にあるが、断層のずれの方向や速度、震源の深さ、地面の構造や性質、地震波の特性などによって地上の揺れは大きく異なる。
地震の原因と種類
プレートテクトニクスも参照
研究段階であり完全に解明されたわけではないが、通常の地震はプレート運動により地殻内で応力が局所的に高まり、岩体の剪断破壊強度を超えて断層が生じあるいは既存の断層が動くことが原因であると考えられている。大きな地震では震源に近い別の断層が同時に動くこともある。火山活動に伴う地震(火山性地震)には断層と関係が無いものも多く、通常の地震とは分けて考えることが多い。
地震を地下構造とプレートテクトニクスの観点から見た場合、大きく4種類に分けられる[2]。後に、節ごとに詳しく説明する。
- プレート同士の境界部分で発生する地震(プレート間地震、プレート境界型地震)
- 海溝型地震、衝突型境界で起こる地震、発散型境界で起こる地震、トランスフォーム断層で起こる地震の4つに細分される。
- 大陸プレートの内部や表層部で発生する地震(大陸プレート内地震、内陸地殻内地震、断層型地震、直下型地震)
- 沈み込む海洋プレートで発生する地震(海洋プレート内地震、スラブ内地震)
- 沈み込む海洋プレート内地震、沈み込んだ海洋プレート内地震(深発地震)の2つに細分される。
- 火山性地震
内陸地殻内地震と海洋プレート内地震は、プレート内地震という1つの種類に当てはめることもある。
地震を防災上の観点から分類した場合、直下型地震(内陸地震)、海洋型地震などに分けられる。直下型地震のうち、都市直下型地震は防災上特に重要視されている。
逆断層型、正断層型、横ずれ断層型といった分類は、断層型地震(内陸地殻内地震)にのみ適用される考え方ではなく、すべての地震に適用される。これは、地震の際にずれ動く面は上記の分類に関係なく「断層」と呼ぶためである。内陸地殻内地震はさまざまなタイプの断層があるが、海溝型地震は逆断層型、海嶺などで起こる地震は正断層型が多いなど、特徴がある。
プレート間地震
2つ以上のプレートが接する場所では、プレート同士のせめぎ合いによって地震が発生する。プレート同士の境界は、収束型(海溝と衝突型境界に細分される)、発散型、すれ違い型(トランスフォーム断層)の3種類に分けられる。発散型やすれ違い型は、地震が起こる範囲がプレート境界の周辺だけに限られ、震源の深さもあまり深くない。一方、収束型のうち海溝はしばしば規模の大きな地震を発生させる特徴があり、衝突型境界は地震が起こる範囲が広く震源が深いことも多い特徴がある。
海溝やトラフでは、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込み、両者の境界が応力により歪みを受け、ばねのように弾性力を蓄え、やがてそれが跳ね返る時に地震が起こると考えられている(弾性反発説)。これは海溝型地震と呼ばれている。跳ね返りで発生するといっても、実際は2つの地盤の面がずれて起こるものである。
海溝型地震は、海溝よりも大陸プレート寄りの部分で発生する。1つの海溝の中で、いくつかの領域に分かれて別々に大地震が発生する。地震の規模はM7~8と大きく、稀にM9を超える超巨大地震が発生することもある。1つの領域では、およそ50~200年ほどの周期で大地震が繰り返し発生する。規模が大きい海溝型地震が海洋の下で発生した場合、津波が発生することがある。震源断層は海洋プレートと大陸プレートの境界そのものである。震源域が広く規模が大きいため、被害が広範囲にわたることがある。
日本付近では2003年9月に発生した十勝沖地震(Mw8.3、最大震度6弱)や、近い将来の発生が指摘されている東海地震が例として挙げられ、東南海・南海沖の南海トラフ、宮城県沖や三陸沖の日本海溝、根室沖などの千島海溝でも発生する。関東大震災の原因となった関東地震(M8.2)は、震央は陸上だが相模トラフがずれ動いた地震であり、海溝型地震に含まれる。
チリ、ペルー、メキシコ、アメリカのアラスカ、ロシアのアリューシャン列島や千島列島、日本、フィリピン、インドネシア、パプアニューギニア、ソロモン諸島、トンガ、ニュージーランドなどの沿岸に海溝があり、大きな海溝型地震が発生する。
- 衝突型境界で起こる地震
衝突型境界では、プレート同士が激しく衝突し合い、境界部分では強い圧縮の力が働いて地震が発生する。強い力によってプレートが砕け、その破片同士がずれたり、付加体がずれたりして地震が起こる。
大陸プレート同士が押し合い衝突しているヒマラヤ山脈・パミール高原・チベット高原や日本海東縁部などが主な発生地である。
1983年5月の日本海中部地震(M7.7、最大震度5)、1993年7月の北海道南西沖地震(M7.8、最大震度6)などが例である。
- 発散型境界で起こる地震
発散型境界でも、マグマの上昇やプレートの軋みなどによって地震が発生する。主に、海洋中央部の海嶺で発生し、地震の規模はそれほど大きくない。
東太平洋海嶺、オーストラリア南極海嶺、中央インド洋海嶺、南西インド洋海嶺、大西洋中央海嶺など各地の海嶺で地震が発生する。アイスランドやアフリカの大地溝帯では、陸上にある海嶺(地溝)の影響で正断層型の地震が発生する。
- トランスフォーム断層で起こる地震
トランスフォーム断層では、プレートのすれ違いによって地震が発生する。断層のタイプは横ずれ断層型となる。
主な発生地には、トルコの北アナトリア断層やアメリカ西海岸のサンアンドレアス断層などがある。
1906年4月のサンフランシスコ地震(M7.8)などが例である。
内陸地殻内地震
海洋プレートが沈み込んでいる大陸プレートの端の部分では、海溝から数百km離れた部分まで含む広い範囲に海洋プレートの押す力が及ぶ。その力はプレートの内部や表層部にも現れるため、プレートの表層部ではあちこちでひび割れができる。このひび割れが断層である。
周囲から押されている断層では、押された力を上下に逃がす形で山が高く、谷が深くなるように岩盤が動く(逆断層)。また、大陸プレートの一部分では、火山活動によってマグマがプレート内を上昇し、プレートを押し広げているような部分がある。また、プレートの表層部の軟らかさの違いによって、局地的に引っ張られている部分もある。このような場所にも断層ができる。周囲から引っ張られている断層でも、引っ張られた力を上下に逃がす形で山が高く、谷が深くなるように岩盤が動く(正断層)。また、押される断層・引っ張られる断層であっても、場所によっては断層が水平にずれ、岩盤が上下に動かないこともある(横ずれ断層)。多くの断層は、正断層型・逆断層型のずれ方と、横ずれ断層型のずれ方のどちらかがメインとなり、もう一方のずれ方も多少合わさった形となる。
このようなタイプの地震を内陸地殻内地震あるいは大陸プレート内地震と呼ぶ。断層で発生するため、断層型地震、活断層型地震などとも呼ぶ。内陸の断層は都市の直下や周辺にあることも少なくなく、直下型地震とも呼ぶが、関東地震のように陸地の直下を震源とする海溝型地震もあるため、それと区別する意味で「陸域の浅い場所を震源とする地震」のような言い方もされる。
断層の中でも、数億年~数百万年前まで動いていて現在は動いていないような断層があり、そのようなものは古断層といって地震を起こさない。一方、現在も動いている断層を活断層という。ただし、活動の有無を判別するのが難しい断層もあり、古断層といわれていた断層が動いて地震を起こした例もあるため、防災上注意しなければならない。
地震の規模は活断層の大きさによるが、多くの断層はM6~7、大きいものではM8に達する。同一の活断層での大きな地震の発生は、数百年から数十万年に1回の頻度とされている。都市の直下で発生すると甚大な被害をもたらすことがあるが、大きな揺れに見舞われる範囲は海溝型地震と比べると狭い領域に限られる。
1995年1月の兵庫県南部地震(M7.3、最大震度7)や2000年10月の鳥取県西部地震(M7.3、最大震度6強)、2004年10月の新潟県中越地震(M6.8、最大震度7)や2007年3月25日に発生した能登半島地震(M6.9、最大震度6強)、更に最も新しいものでは2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震(M7.2、最大震度6強)などが、断層型地震に該当する。
アメリカ西海岸、ニュージーランド、日本、フィリピン、インドネシア、中国、アフガニスタン、イラン、トルコ、ギリシャ、イタリアなどに活断層が密集しており、大きな断層型地震が頻発する。 このタイプの地震はしばしば甚大な被害をもたらすため、将来の地震発生予測を目的に、1980年以後日本全土の活断層が調査され、危険な断層を順次評価している。兵庫県南部地震の前に公表された活断層の地図には他の大断層類と同時に「危ない断層」として有馬・高槻・六甲断層帯が危険と表示されていた。この調査作業は現在も継続して続けられている。
一方、ヨーロッパ中部・北部、アメリカ中部、オーストラリアなどには、過去の造山運動に伴ってできた断層があるが、その中には現在も動いている活断層がある。このような断層は、時々動いて最大でM4~5程度の地震を起こし、稀に被害が出ることもある。
海洋プレート内地震
- 沈みこんだ海洋プレート内で起こる地震
海溝を経て大陸プレートの下にもぐりこんだ海洋プレートは、マントルの中を沈み込んでいる途中で割れたり、地下深部でスタグナントスラブとなって大きく反り返って割れたりして、地震を発生させることがある。スラブ(板=プレート)の中で発生するので、スラブ内地震あるいは深発地震などと呼ばれる。
一般に震源が深く、したがって震源と震央の距離は長い場合が多いにもかかわらず、規模が大きなものは被害としては侮れない。また深い分、広範で最大震度に近い揺れに見舞われることにもなる。地震波の伝わりやすさは、プレートの位置関係やマントルの深さなどでそれぞれ異なるため、震源から離れた場所で揺れが大きくなる異常震域が発生しやすいのも特徴である。
近年の例では、1987年の千葉県東方沖地震(M=6.7、深さ50km、最大震度5:千葉県全域)、1992年2月の浦賀水道の地震(M=5.7、深さ92km、最大震度5)、1993年1月の釧路沖地震(M=7.5、深さ101km、最大震度6)や2003年5月の宮城県沖の地震(M=7.1、深さ72km、最大震度6弱、広範で5弱以上…山形県村山市でも計測震度4.8を記録、建物被害あり)のような被害事例が見られる(注:2003年9月17日に気象庁によってマグニチュード算出方法が改訂されたが、これにより過去の地震も修正された。ここではそのマグニチュードを用いている)。
福島県沖や茨城県沖で頻繁に発生する地震のほか、1993年1月の釧路沖地震、2001年3月の芸予地震や2003年5月の宮城県沖の地震もこのタイプである。
- 沈み込む海洋プレート内で起こる地震
海溝を経て大陸プレートの下に潜り込む海洋プレートでは、まだ沈み込んでいない部分にも力がかかり、ずれたり割れたりして地震を発生させることがある。こちらもスラブ内地震と呼ぶことがある。
火山性地震
海溝の周辺の火山弧、ホットスポット、海嶺、ホットプリュームの噴出地域では、マグマの移動や熱せられた水蒸気の圧力、火山活動に伴う地面の隆起や沈降が原因となって地震が発生する。これらの地震を火山性地震という。火山性地震は断層の動きだけでは説明できない部分があるので、上記の3分類とは分けて考えることが多い。
その他
- 人為的な原因によって起こる地震
人間活動が引き起こす地震もある。1つは、ダムの建設や地面の掘削・造成、石油や天然ガスなどの採掘が地下構造を変え、地震を誘発するものである。(誘発地震)1940年にアメリカフーバーダムで起きたM5の地震や、1967年12月10日にインドのマハラシュトラ州西部で起きたM6.3の地震は、貯水池の建設や貯まった水の水圧によって誘発されたものだった。もう1つは、爆弾の爆発によるいわゆる人工地震である。1961年10月30日にロシアのノヴァヤゼムリャで行われた核実験(ツァーリ・ボンバ参照)では、約M7に相当する揺れが発生した。また、人工地震を観測することで地下構造の推定に役立てる手法もある。地震波トモグラフィーは地下構造を三次元で推定することができる。
地震の原因論とメカニズム論の展開
神話
日本では古来より「地中深くに大ナマズが存在し、その大ナマズが暴れることにより大地震が起きる」という俗説が信じられていた。その為なのか、一部の人々には今でもナマズが暴れると大地震が来ると信じられている。だが、ナマズが地震を予知できる根拠は見つかっていない。江戸時代には安政の大地震を期に鯰絵と呼ばれる錦絵が流行するなど、日本人にとって地震とナマズが身近な関係にあったことが伺える。また、鹿島神宮にはこの大ナマズを抑えるという要石があり、地震の守り神として信仰されている。地震避けの呪歌に、万葉集の歌を使った「ゆるぐともよもや抜けじの要石鹿島の神のあらむ限りは」というものがある。
中国では古来から、陰陽説の考え方を背景にして、地震とは陰の性質を持った大地から陽の性質を持った大気が出てくるときに起こるものという説明があった。
北欧神話においては地底に幽閉されたロキが、頭上から降り注ぐ蛇の毒液を浴びたときに震えて地震が起きるとされている(詳細はロキを参照のこと)。ギリシア神話ではポセイドンが地震の神とされた。
科学的探究
古代ギリシアでは、自然哲学者アナクシメネスが土が大地の窪みにずり落ちることが原因だと考えた。アナクサゴラスは地下で激しく水が流れ落ちることを原因と考えた。その後、アリストテレスは四元素説を基に、地震は地中から蒸気のようなプネウマ(気、空気)が噴出することで起こると説明した。これらを受けて、セネカは地下での蒸気の噴出によって空洞ができ、そこの地面が陥没するときに地震が起こるという説を立てた。時は変わって、アラビアではイブン=スィーナーが、地面が隆起することが原因だとする考えを示した。
18世紀には、リスボン地震をきっかけにジョン・ミッチェルが地震の研究を行い、火山の影響で地中の水蒸気が変化を起こすことが原因という説を発表した。
19世紀末には、お雇い外国人として日本にいたジョン・ミルンやジェームス・アルフレッド・ユーイングが地震を体験したことがきっかけとなり、世界初の地震学会として日本地震学会が設立され、地震計の開発や地震の研究が一気に進み始めた。地震の波形から震源を推定する方法が発見されたり、アンドリア・モホロビチッチがモホロビチッチ不連続面を発見して地球の内部構造の解明の足がかりとなったりした。後に帰国したミルンはイギリスで地震の研究を進めて同国に近代地震学が確立されるきっかけを作り、現在イギリスには世界中の地震の観測情報を集積している国際地震センター(ISC)が設置されている。
また20世紀に入って、リチャード・ディクソン・オールダムが地球の核(コア)を発見、ベノー・グーテンベルグがグーテンベルク不連続面を発見するなどし、地球物理学が次第に進展するとともに、アルフレート・ヴェーゲナーの大陸移動説から発展したマントル対流説や海洋底拡大説がプレートテクトニクスにまとめられ、地震の原因として断層地震説と弾性反発説が定着した。
ただ、断層地震説と弾性反発説によって一度否定された岩漿貫入などは、2説を補完する説として考える学者もいる。また、地球空洞説に原因を求めるなど、これらとはまったく異なる説を展開する学者や思想も、少数ながら存在している。
地震動・地震波と揺れ
断層のずれによって発生した振動は、地震波という形で周囲に伝わる。地震波には大きく分けて実体波と表面波の2つがあり、実体波はP波とS波、表面波はレイリー波とラブ波にさらに分類される。一般的に地震計で計測されるのは実体波のみであり、震度やマグニチュード、震源位置の推定などは実体波の計測結果から計算される。地震が発生したとき、基本的には、初めに小さなゆれを起こすP波が来て、少し経ってから大きな揺れを起こすS波が来る。しかし、揺れの大きいP波によって被害が出ることもあるほか、震源が近くにある場合はP波とS波がほぼ同時に到達することもある。地震波を振動として捉えた場合は地震動と呼び、両者は使い分けられる。
地表では、P波による揺れが始まってからS波が到達するまでは、初期微動と呼ばれる比較的小さい揺れに見舞われる。その後、S波が到達した後は主要動と呼ばれる比較的大きい揺れとなる。また震源から近い場所では、P波が到達する前後にレイリー波も到達し、同じく揺れを引き起こす。海上の船などでは、P波のみによって発生する海震と呼ばれる揺れに見舞われる。
被害を引き起こすような揺れのもとは主にS波だが、レイリー波、ラブ波、P波も振幅や周期によっては被害を引き起こすような揺れとなる。地震波(振動)の周期が、被害を受ける構造物(あるいは構造物の固有振動)と関係していることは、地震工学や建築工学においては重要であり広く知られているが、一般的な知識としてはあまり浸透していない。
例えば、日本家屋のような木造住宅は周期1秒前後の短周期地震動が固有振動周期にあたるため、周期1秒前後の地震動によって共振が発生し非常に強く建物が揺さぶられ、壊れやすく被害が拡大しやすい。一方、高層建築物は周期5秒以上の長周期地震動が固有振動であり、地震波が堆積平野を伝わる過程で発生しやすい長周期地震動によって、平野部の高層建築物の高層階では大きな被害が発生する。このほかに、M9を超えるような巨大地震の際に観測される、超長周期地震動または地球の自由振動と呼ばれる周期数百秒以上の地震動がある。この超長周期地震動の中には地球の固有振動周期に当たる地震動もあり、地球全体が非常に長い周期で揺れることもある。
地下の構造、特に地面に近い表層地盤の構造や地下のプレートの構造によって、地震動全般に対する揺れやすさ、揺れやすい周期、あるいは地震波の伝わり方が異なる。そのため地震の際、震度が震央からの距離に完全に比例して、きれいに同心円状に分布することはほぼない。稀に震央と異なる地域で揺れが最も大きくなることがあり、異常震域と呼ばれる。
また、多くの地震計は周期0.2~0.3秒前後の地震動を感知しやすいため、周期0.2~0.3秒で大きく周期1秒で小さい地震では震度に比べて被害が軽かったり、逆に、周期0.2~0.3秒で小さく周期1秒で大きい地震では震度に比べて被害が甚大だったりといったことが起こる。ただし、これには地震計の設置場所と地下構造の問題もあるとされる。[1]
地震の揺れの速度を表す単位として、カイン(=センチメートル毎秒)がある。また、地震の揺れによる加速度を表す単位として、ガル(センチメートル毎秒毎秒)がある。1秒間に1カインの加速度が1ガルである。
地震動や地震波は地震計により観測される。揺れの周期や感度、振幅などにあわせてさまざまな種類のものがある。震度を算出したり、観測データを集めて震源の位置や規模などを推定したりする。
主な地震帯と地震の頻度
| 世界の年間平均地震発生回数 | |
|---|---|
| マグニチュード | 回数 |
| 8.0以上 | 1 (注1) |
| 7.0~7.9 | 17 (注2) |
| 6.0~6.9 | 134 (注2) |
| 5.0~5.9 | 1,319 (注2) |
| 4.0~4.9 | 13,000 (注3) |
| 3.0~3.9 | 130,000 (注3) |
| 2.0~2.9 | 1,300,000 (注3) |
| USGSの資料による。 注1:1900年以降の平均。 |
|
主な地震の震源を地図にして地球の表面を概観すると、プレートテクトニクスの考え方でいう環太平洋造山帯やアルプス・ヒマラヤ造山帯の周辺は地震が特に多い地域があることが分かる。前述の2つの造山帯も含めた新期造山帯で最も地震が多く世界の地震活動の大部分を占める。このほか、ヨーロッパ西部やアジア北部などの古期造山帯でも比較的多く地震が発生する。
これらの地域は造山帯または地震帯(火山に着目した場合火山帯とも呼ぶ)と呼ばれ、地殻や地面の活動(移動)が活発で、地震も活発である。しかし、この地図はあくまで一定期間に発生した地震を集計したものであり、「地震の起こりやすさ」を表したものである。この地図で地震が少ない地域でも、絶対に地震が発生しないわけではない。
地震による(人間への)被害が大きくなる地域は、地震の多い地域とは異なる。周囲の断層の多さ、地盤の揺れやすさ、人口密度の大小、建造物の強度などによって被害が異なるためである。大地震が起きても人のあまり住んでいない所で起きれば被害も少ないが(鳥取県西部地震など)、大都市や町の近く(約50km以内)で起きれば大きな被害が出るおそれがある。[3]また、地震が発生する時間や時期などによっても被害は異なる。
世界では、1年間にM5以上の地震が平均約1,500回、M2以上の地震が平均145万回発生している。数の上では、世界で発生する地震の1割程度が日本付近で発生しているといわれている。1996年から2005年の期間中では、世界で発生したM6以上の地震の2割が日本で発生した[2]。
地震の発生の頻度が過去と比べて増加したかどうかということは、局地的に見ることはできても、全世界的に見ることは現状では難しい。地震の発生数のデータは、地震計の精度の向上や観測点のネットワークの状況などに左右される。世界的に見ても目が細かい日本の高感度地震観測網でも1990年代後半以降のデータであり、世界を見ても微小地震・極微小地震を捉えられるような観測網は少なく、海底となればその傾向は顕著である。
主な活断層・海溝
周期的に地震を発生させている断層を活断層という。また、古い断層の跡や活褶曲も、地震を発生させる確率が比較的高いとされているほか、活断層が無い地域に新たに断層が発生する可能性も否定できない。そのため、活断層の調査を中心とした地震防災に対する批判も存在している。
地球上の活断層(地溝・海溝などを含む)のうち、主なものを挙げる。これらは周期的に大地震を発生させるものが多い。このほか、地震活動が活発で多くの活断層を擁する歪集中帯と呼ばれる地域がある。
- 断層
詳細は断層#代表的な活断層の例を参照
- 糸魚川静岡構造線(日本、本州中部)
- 中央構造線(日本西部 ※活断層部分のみ)
- アルペン断層(ニュージーランド北島)
- カラヴェラス断層(アメリカ、サンフランシスコ・ベイエリア)
- デスヴァレー地域(アメリカ中西部)
- ヘイワード断層帯(アメリカ、サンフランシスコ湾東岸)
- サンアンドレアス断層(アメリカ、カリフォルニア州)
- ニューマドリッド断層帯(アメリカ中部)
- グレートグレン断層(グレートブリテン島、スコットランド)
- アナトリア断層帯(トルコ北部)
- スマトラ断層(インドネシア、スマトラ島)
- 海溝・沈み込み帯
詳細は海溝#主な海溝を参照
- カスケード沈み込み帯(北アメリカ西海岸沖)
- 千島海溝(千島列島南岸)
- 日本海溝(北海道・東北・関東沿岸)
- 相模トラフ(相模湾沖)
- 駿河トラフ(駿河湾沖)
- 南海トラフ(紀伊半島・四国沖)
- スンダ海溝(ミャンマー沖~スマトラ島南岸)
- ジャワ海溝(ジャワ島南岸)
- 中央アメリカ海溝(中央アメリカ西岸)
- ペルー海溝(ペルー沿岸)
- チリ海溝(チリ西岸)
- ケルマデック海溝(ケルマデック諸島東岸)
地震の周期性
プレートや地表の動きが数百年程度の間、長期的に見て一定であれば、それぞれのプレートの境界や断層で起こる地震は一定の周期で起こると考えられており、ひずみの蓄積と開放というサイクルを繰り返す。実際に、プレートの境界でおこる南海地震、東南海地震、東海地震、宮城県沖地震などでは周期性があるとされているほか、アナトリア断層帯でも周期性が確認されている。
プレートの境界においては50年~300年[4]、断層においては数百年~数十万年と、地震の周期はそれぞれ異なる。そのため、周囲のプレートの境界や断層でのひずみの影響を受け、それぞれのサイクルで、ひずみのかかり具合が毎回異なり、地震の周期が多少ずれることも考えられる。
1つの周期をもって繰り返し起こる一連の地震の活動のなかには、大きく分けて、ひずみの蓄積、前駆的地震活動、静穏化(空間的に見れば空白域)、前震、本震、余震などがある。このサイクルには規則性があると考えられており、観測によって現在どのような活動に当たる時期かを知ることで、地震予知に役立てようという動きがある。
専門家の一部は、1995年の阪神大震災をはじめとして、「西日本(西南日本)は本格的な地震の活動期に入っているのではないか」と推測しており、西日本で周期的に発生している南海地震や東南海地震、またそれに連動して東海地震の発生が近づいていることを指摘する声もある(西日本地震活動期説参照)。ただ、これを否定する専門家もおり、活動期であるかどうかを判断するための資料が少ないことを指摘する声もある。
地震による被害と対策
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阪神・淡路大震災により傾いたビル。この後完全に倒壊した。
スマトラ島沖地震の津波により家を失った人たちのスラム街。2005年インド・チェンナイにて
新潟県中越地震で被害を受けた道路と橋、地震後
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震災
詳細は震災を参照
地震による災害のことを震災(しんさい)と言う。特に激甚な被害のあった震災のことを大震災と言い、地震とは別に固有の名称がつけられることがある。例えば関東大震災、阪神・淡路大震災などである。ただし、命名するか否かは気象庁長官の判断に委ねられる。新潟県中越地震では、気象庁ではなく新潟県によって「新潟県中越大震災」という呼称がつけられている。
地震による主な被害
- 窓が割れる。建造物のひび割れ、倒壊、崩壊。
- 家具や置物の転倒、飛散。
- 火災。強風を伴った場合の火災旋風。
- がけ崩れ、地滑り、液状化現象、地割れ、地盤の緩み、河道閉塞。寒冷地での雪崩。
- 津波による、家屋や建造物の流失、人的被害、衛生環境の悪化などの諸被害。
- 道路や橋、鉄道、水道、ガス管、送電線、電話線などのライフラインや通信網の遮断。帰宅困難者の発生。
- 商品や工場への被害や経済的損失。寡占商品が被害を受けた場合の経済全体への影響。
- 文化財や天然記念物、景観などへの被害。文献や史料の損傷、紛失。
- 怪我、生命への危険。及びノイローゼやPTSDなどの心理的被害。
- 物資の不足、食糧不足、水不足。
- 医療サービス、公共サービス、行政サービスなどの低下、機能停止。
- 窃盗や支援物資の奪い合い、暴動などの治安の悪化。震災を利用した詐欺などの犯罪。デマによる被害拡大。
- 水やごみによる衛生環境の悪化、感染症の流行。
- 地震による被害の過大報道、誤報などによる風評被害。
日本での地震の被害は、人口に比例して増加した部分もあったが、住宅の耐震性、耐火性の向上とともに減少してきている。長期的に見て、地震による被害は縮小する傾向にある。これは、建造物の耐震化や地震に強い社会基盤の形成、さらに地震に関する知識や防災意識の浸透によるものが大きい。
地震は自然現象であるが、備えておけば被害を大幅に小さくすることが可能であり、地震による災害を人災とする考え方もある。
救助と救援・復興
地震が発生したとき、基本的には自分たちの出来る範囲で救助・救援を行わなければならないが、消防団や地域コミュニティも大きな担い手となる。地震による大きな被害が生じたとき、離島・山間部や過疎地では救助・救援ともに遅れがちとなる。またどこでも、被害が大きい場合は救助・救援の手が回らない場合がある。このようなとき救助・救援の中心となるのが消防団や地域コミュニティだといわれている。
近年は、ボランティアによる救助・救援も増えてきている。救助活動や安否確認のほか、避難生活の支援、復旧活動などに、物資や金銭を送ったり、実際に出向いたりといった形で支援が行われる。また、建物の中に人が閉じ込められることが多い地震被災地において、災害救助犬も多く活動している。一方、新潟県中越沖地震の例のように、ボランティアの超過や不足による混乱も生じており、ボランティア環境は不十分なところもある。
地震発生後の対策
また、被害の拡大を防ぐために、地震や津波の情報を迅速に伝達することも重要とされる。NHKでは、本震の最大震度が6弱以上の揺れを観測する地震の発生や、津波警報が発表された場合、国際放送(NHKワールド)を含むテレビ・ラジオのすべての番組を中断して、地震や津波の情報を伝えている(8波全中)。テレビでの地震情報は総合テレビ、衛星放送全チャンネル(衛星放送は震度3以上のみ)でテロップ表示を行う(教育テレビでも稀に表示される)。ラジオではラジオ第1放送で該当地域のみ番組を中断し放送される(FM放送はラジオ深夜便の放送時のみに限られる)。FM放送は日中の放送では地震情報は放送されないが、津波が発生する可能性がある地震に限り番組を中断して放送される。NHKワールド・ラジオ日本については全国一斉に流れる場合に限り放送される。
NHK以外の民間放送でも、概ね震度3以上の地震発生時、あるいは津波情報発表時にはテロップ表示を行っている。NHKが番組を中断して情報を伝えているのに対し、民間放送は発生直後に番組を中断することは少ない。これは、NHKが視聴者からの受信料主体の収入に対し、民間放送はコマーシャル収入が主体で、スポンサー間との調整が難しいためとされている。だが、二次災害など地震の被害の影響が高い場合は、NHKに遅れながらも番組を中断して情報を伝えている事が多い。(この場合は当初予定していたコマーシャルは放送せず、公共広告機構のコマーシャルを放送している)特に、テレビ朝日では被害が拡大した場合、報道ステーションを午後9時からに前倒しして放送することもある。一方、テレビ東京では、番組を中断して情報を伝えることは極めて少ない(テロップ表示は行っている)。これは、人材不足や系列局が少ない事が要因とされている。
このほか、コンピュータで地震や津波の情報を配信・共有するP2P地震情報などのソフトウェアや、同報系市町村防災行政無線により、屋外スピーカーで津波情報や地震に対する警戒を広域に呼びかける手法、感震計により強い揺れを観測した際に警告を発する手法もある。また、NHKなどでは津波警報発表時や東海地震警戒宣言発表時に緊急警報放送を行っている。
地震の揺れが到達する前の対策として、日本においては現在、一部の鉄道でユレダスが運用されている。また、これまでも一部で運用されてきたが、2007年10月からは一般に向けた緊急地震速報の運用が開始された。
大地震による災害時には、電話など通信の混雑への対策として災害用伝言ダイヤルが設置されるなどしている。携帯電話・PHSにおいても災害用伝言板サービス等の同様のウェブ上サービスがある。また、自治体や民間が協力して臨時災害放送局を設置し、被災者への情報提供が行われた例もある。
地震発生前の対策
これらの被害を防ぐため、耐震補強により建造物の耐震性を高めるなどの対策がとられる。日本においては、建築基準法などにより耐震基準が定められている。また、より硬い地盤に建物の基礎を固定することで耐震性を高める方法もある。保険業界や企業を中心に、地震による被害のリスクを算定する地震PMLという手法も普及している。
また、地震への防災や備えの目安として、地盤の揺れやすさや地震動に見舞われる確率といった地図も作成されている。危険度が高い地域では、啓発による被害軽減の効果などが期待されている。しかし、危険度が低い地域では安心感が生まれたり防災意識の低下につながったりするのではないかという批判や、海底断層をはじめとした基礎データの不足、確率論による予測の限界といった問題もある。
また、原子力発電所をはじめとして、揺れによる災害の危険性が高い建造物については、建設の前の環境アセスメントの段階で、地盤の強度や周囲の断層の位置・活動度などを調査し、なるべくリスクの低い場所に立地するような対策が取られている。これについては、調査が十分に行われない可能性、未知の断層や新たな断層が発生する可能性もあることが問題となっている。
普段においては、防災訓練や防災用品(非常食や非常袋など)の準備などが代表的な対策として挙げられる。また、過去の災害の例を学んだり体験談を聴いたりすることも有用であるとされ、教育や地域において講演会として行われたり、書籍となったり、インターネット上で公開されたりしている。
過去に発生した地震
過去に発生した世界中の地震の詳細なリスト、規模や被害による順位については地震の年表を参照
有史以来、世界各地で無数の地震が発生している。
